「格安SIMはなぜ安いんだろう」
疑問に持つ方も多いと思います。何せキャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)で契約した場合、電話かけ放題で2GBの高速データ通信ができるプランで月額6,500円です。
一方、同じような条件で格安SIM(格安スマホ、MVNO)の代表格である楽天モバイルだと3,980円(3.1GB通話SIMに楽天でんわ かけ放題 by 楽天モバイルをオプション追加した場合)になるわけです。
同じように電話はかけ放題になって、高速でインターネットが2GB~3GB分できるのに毎月の支払いが2,500円も差がでる訳です。一年間だと30,000円も違ってきます。
データプランに限ってみるとその差はもっと生まれます。同じ楽天モバイルの3.1GBのデータSIM(通話機能がなくデータ通信機能のみできる)だと月額900円です。
この安すぎることが格安SIMをうさん臭く感じる理由の一つだと思います。そこで、格安SIMが安い理由について調べてみましたので、紹介したいと思います。
理由1 ネットワーク網を借りている
格安SIMが安くできる理由の一番に上げられるのが「通信のネットワーク網を借りている」ことだと思います。格安SIMは通話やデータの通信を行う自前のネットワーク網、基地局を持たずにキャリア側から借りて回線のみをユーザーに提供しています。
みなさんの近所にも携帯電話のアンテナ(基地局)があると思いますが、あのアンテナはドコモならドコモの基地局、auならau、ソフトバンクならソフトバンクと各社がそれぞれ設置したものです。
その設置費用ももちろんですが、サービスとして提供するからには基地局を維持していくため、保守管理もしないといけません。考えてみればその費用は莫大なものになりますが、格安SIMはネットワーク網を借りることで、基地局のコストを削減できているわけです。
また、キャリアから一度に大量の通信量を購入することで、その単価を下げているため、ユーザーには安く通話やデータ通信を提供できる仕組みになっています。
理由2 ショップがない(少ない)
日本全国のちょっと大きな町だと見渡せばドコモショップやauショップ、ソフトバンクショップと各キャリアの店舗があると思います。携帯ショップは新規契約や機種変更はもちろん、故障の時や操作が分からない時の相談など様々な理由で訪れます。
ちなみに各キャリアのショップ店舗数は2016年現在でドコモが約2,400店舗、auが約2,500店舗、ソフトバンクが約3,700店舗だそうです。そりゃよく見かけるわけです。単純計算で各都道府県に51~78店舗の携帯ショップがあるわけですから。(3社で考えるとひと県あたり150以上の店舗になります)
一方、格安SIMの場合、あまりショップを見かけることが少ないと思います。あるとしたら家電量販店のスマホコーナーに付随している印象でしょうか。比較的自社運営店舗を出店している楽天モバイルですら48店舗(2017年8月現在)です。
では、格安SIMの契約はどうするのかと言うと、ほとんどがWeb限定です。そうすることで店舗を作るための費用、不動産取得費やショップを建てる費用や維持費がかからないのでその分安くできるわけです。
理由3 人件費が少ない
上記の「理由2」にもつながっていますが、店舗が少ないということはそのショップで働くスタッフもいないわけです。携帯ショップへ行くとそこそこの大きさのショップだといつ行っても10人近くのスタッフが働いています。ということは休日のスタッフも考えると実際にはもっと多くの人数がいることになります。
この人件費はかなりのものだと思います。また、それぞれのショップは運営していくために営業費用もかかってきます。そういった費用がなくなるだけでもかなりの支出が抑えられるんだと思います。
格安SIMも無人で営業しているわけではないので人件費はかかりますが、キャリアには全国に2,400店舗以上あるショップスタッフの人件費もかかることを考えればその差は歴然です。人件費という大きな支出が少ない分安い金額でスマホ利用を提供しても利益ができるわけです。
理由4 コマーシャル頻度
テレビなどでよくキャリアのコマーシャルを目にします。2017年現在だと、ドコモは俳優の堤真一や綾野剛、高畑充希を中心にブルゾンちえみやみやぞんといった旬のお笑いタレントを登場させる展開が最近のおなじみです。auは松田翔太(桃太郎)、桐谷健太(浦島太郎)、濱田岳(金太郎)が演じる三太郎シリーズ。ソフトバンクは上戸彩や樋口可南子、ダンテ・カーヴァー、北王子欣也(カイくん)の白戸家というシリーズが有名です。
目にする機会が多いので覚えている方も多いと思います。各社俳優を何名も使って、何パターンもシリーズでコマーシャルを作製しているわけです。もちろん、それ以外にも広告宣伝を行っています。
一方、格安SIMのコマーシャルを目にする機会は少ないと思います。最近では少しずつ目にする機会もありますが、ほとんどの格安SIMはこう言った広告宣伝費を抑えています。こういった差が料金に反映されています。
理由5 絞ったサービス内容
ドコモやau、ソフトバンクといったキャリアはスマホの回線を提供しているだけの企業ではありません。
キャリアのホームページを見てみると、各社ともスマホの回線以外にもそれに付随した様々なサービスを提供していることに気づきます。ドコモだったらドコモ光やdエンジョイパスなど、auだったらauひかりやauでんき、auスマートパスなど、ソフトバンクだとSoftbank光やヒューマノイドロボットPepper(ペッパー)などが有名です。
そういった様々なサービスを提供していくことで企業は大きくなっていくのかもしれません。格安SIMは基本的にSIM(通信)の提供に絞ってサービスを提供しています。シンプルだからこそ、その分安い料金を実現しています。
まとめ
まとめてみればキャリアのスマホ料金には「ネットワーク網の構築費用や保守管理費」、「携帯帯ショップの運営費」、「広告宣伝の費用」、「様々なサービスの提供」、そしてもちろん「会社で働く社員のお給料」が上乗せになっているわけです。だからある程度高くても仕方ないと言えるかもしれません。
でも、格安SIMはキャリアの逆。「ネットワーク網はレンタル」、「ショップはほとんど持っていない」、「広告宣伝もあまりしていない」、「回線提供にしぼったサービス」なため、安くできるわけですね。表にするとこんな感じです。
キャリア (ドコモ、au、ソフトバンク) |
格安SIM | |
---|---|---|
ネットワーク網 | ◎ | × (レンタル) |
携帯ショップ | ◎ (各社全国に2,400店舗以上) |
△ (Web契約がほとんど) |
人件費 | ◎ | 〇 |
広告宣伝 | ◎ | △ (Web広告がメイン) |
提供サービス | ◎ | △ |
よく安いのには訳があるといいますが、格安SIMが安いのにはこういった理由があるわけです。決して詐欺だとか胡散臭いわけではないのでご安心ください。実際、格安SIMに参入しているのはOCNやBiglobeをはじめとした通信企業や楽天市場、LINEといったIT企業で名の通った会社もあります。
実際そういった企業の格安SIMに人気がありますので、もし格安SIMに興味があればそういった企業の格安SIM(OCNモバイルONE、Biglobe SIM、楽天モバイル、LINEモバイルなど)を使ってみるのもいいかもしれません。